子どもの便秘は治せる!?|理学療法士が考案した体操を紹介
10人に1人の子どもが今、便秘症になっているということを知っていますか?食生活の欧米化や運動不足、トイレの我慢やストレスなどさまざまな要因により、便秘症の子どもが増えています。
便秘症になると、腹痛やお腹の張り、食欲低下、排便時痛などが生じ、学校にいくのが嫌になったり、お出かけが不安になったり日常生活に支障をきたしてしまいます。
便秘症は、放置しておくと大腸は便から水分を吸収するので、便はどんどん硬くなり、排便時に痛みをともなうため我慢してしまう。さらに、そのようなことが続くと、常に便が腸(直腸)にある状態が続き、腸がだんだん鈍感になり、便意が生じにくくなる。 このような2重の悪循環がおこるために、こどもの慢性の便秘症は悪くなる。
と言われており、できるだけ早く改善が必要です。
小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインより引用
便秘症の治療には生活習慣・排便習慣の改善、運動療法、食事療法、薬物療法などがありますが、今回の記事ではその中の運動療法によって腸の活動を活性化させる体操を紹介します。
*今回は特定の疾患などがない慢性便秘症と診断された子どもを対象としており、症状がひどい場合などは一度医師の診察を受けることをおすすめします。また、便が溜まってしまっている場合は一度薬物療法などで便を柔らかくし、出すことを優先しましょう。
子どもの便秘症とは
子どもの便秘症とは排便の頻度が減り、硬くて乾いた便が出る状態のことをいいます。排便回数が週に3回より少なかった り、5日以上出ない日が続けば便秘と判断されます。毎日出ていても、出す時に痛がってない たり、肛門がきれて血が出るような場合も便秘です。 便秘症が1~2ヵ月以上続いた場合には、「慢性便秘症」といいます。
子どもの便秘症の原因
子どもの便秘の原因には次のようなことがあります。
①食生活:食物繊維が不足したり、水分摂取が少ない、加工食品や高脂肪の食事など偏った食事をしていると便が硬くなり、便秘になりやすいです。
②生活習慣:運動不足により腸の活動が鈍くなる、トイレにいくのを我慢するなどの習慣があると便秘になりやすいです。
③心理的要因:学校や家庭でのストレス、環境変化によるストレスなど
④病気や薬の副作用:甲状腺機能低下症や腸の異常など一部の病気や鎮痛剤などの薬剤での副作用
⑤遺伝性要因:家族の遺伝的な要素が関与
これらの要因が複合的に作用することもあります。
また、生活背景も影響があります。
みなさん、和式トイレから様式トイレに変わって便秘の子どもが増えたことを知ってますか?歩き始めた1−2歳の子どもや犬や猫などの動物はしゃがんだ姿勢で排便しますよね?
この状態は、股関節がしっかり曲がっており、股関節で体重を支えるため腹圧がかかりやすく便が出やすい姿勢になります。
しかし、トイレが様式化してから、便座に座ってトイレをすることになり、股関節が深く曲がらず、足で体重を支えないため腹圧がかかりにくい姿勢になっているのです。よって、便秘の子どもへのアドバイスとしては足台を置いて、股関節が曲がるようにし、足で踏ん張って腹圧をかけると出やすくなりますよ。一度、試してみてくださいね。
子どもの便秘症に効果的な体操
先ほどの子どもの便秘の原因の中の②生活習慣にある「運動不足」に対して効果的な体操を紹介します。腸の活動を活性化させるためには有酸素運動であるウォーキングやランニングなどが推奨されますが、それでは腸が活動するかどうかは個人差が出てしまい効果が出ない子も出てしまいます。
ここで紹介する体軸体操は、「予防医学に基づいて理学療法士が開発した健康的な身体づくりのための体操プログラム」になります。子どもの身体の状態を整え、より腸の活動を活性化させる体操になります。それを行うことで誰でも同じように効果が出るようになります。
「体軸」とは、筋肉や骨格のことではなく、身体の中心を上下に貫く軸の感覚のことです。お子さんはこの「体軸」が整うことで、姿勢の改善が期待できます。また、身体を思い通りに動かしやすくなることで運動能力の向上につながります。
他の体操とは違い、全身14カ所にある身体のスイッチを触りながら動かすことで、身体の感覚が整い、インナーマッスルが活性化し、それと連動して内臓も活性化します。身体に軸ができることで姿勢が良くなったり、元気が出たり、怪我をしにくかったりします。この体操プログラムはTAIJIKU(たいじく)子どもの運動学習塾の教育プログラム内などで幅広く活用されています。
インナーマッスルのことを詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
体幹とインナーマッスルの違いは?|子どもに体幹トレーニングを指導する前に知っておくべきこと
体軸体操は全部で17種類ありますが、それぞれ10秒程度、全部でも10分かからない時間で、どんな子どもでも簡単にできる体操になっています。
今回は、子どもの便秘に効果的な体操をこの中から5つ紹介します。子どもと一緒にぜひやってみてください。個人差はもちろんありますが、1−2週間程度、毎日実施することで効果が出てきます。
体軸体操は全部で17種類あります。今回の記事を読んで、体軸体操のことをもっと知りたいと思った方はぜひ、この記事も読んでみてください。子どもの身体づくりについて詳しく知ることができ、体軸体操を一緒に行うことで子どもたちがスクスクと健康的に成長できるようになります。
まとめ
今回の記事では子どもの便秘に効果的な体操を紹介しました。
・食生活の欧米化や運動不足、トイレの我慢やストレスなどさまざまな要因により、10人に1人の子どもが今、便秘症になっている
・便秘症の治療には生活習慣・排便習慣の改善、運動療法、食事療法、薬物療法などがある
・体軸体操は、「予防医学に基づいて理学療法士が開発した健康的な身体づくりのための体操プログラム」であり、子どもの身体の状態を整え、より腸の活動を活性化させる体操
以上になります。
ぜひ、子どもの便秘を改善、予防するために体軸体操を行ってみてください。数週間続けて体操をすることでみるみる反応が出てくると思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。