運動で脳が育つ?発達障害の子どもに注目される「運動療育」とは?

時計2025.05.21
運動能力   集中力   発達障害   子育て   遊び   教育   健康  
ダミー画像

「うちの子、なんでじっとしていられないんだろう」

「運動が苦手で、集団行動についていけない」

そんなふうに悩んだことありませんか?


発達に特性のある子どもたちは、体の動かし方や感覚の受け取り方に独自の個性があります。でも実は、それらの“苦手”は、体を動かすこと「運動」を通じてぐんと育つ可能性を秘めているのです。


単なる体育やスポーツではありません。子どもの「できた!」を引き出し、自信と笑顔を育てる、それが「運動療育」です。


この記事では、なぜ運動が発達にいいのか?また、発達障害の子どもにより効果的な運動とは何か?をお伝えし、最後には自宅でも簡単に実施できる運動について紹介します。


今、注目されている運動療育を自宅でもお子さんと一緒にやってみませんか?


目次  


1. 発達障害の子どもに対する運動療育とは?

2. 発達障害の子どもに効果的な運動療育

3. 発達障害の子どもと一緒に自宅で簡単にできる体操

4. まとめ


発達障害の子どもに対する運動療育とは?


運動療育」とは、発達に特性のある子どもたちに対して、運動を通じて心身の発達を促す支援や教育のことを言います。

なぜ、運動が大切なのでしょうか?

運動は身体を強くすることはもちろん、衝動や集中力、イライラの上手なコントロールなど、いわゆる「情動の抑制」に役立つと言われています。また、運動は記憶や学習などの認知能力を高め、他のどんな活動より活発に脳細胞を働かせます

運動療育では、以下のような能力の向上を目指します。

1. 身体能力の向上

バランス感覚、筋力、柔軟性、粗大運動(走る・跳ぶなど)や微細運動(手先の動き)を育てる。

2. 感覚統合の発達

感覚(視覚、聴覚、触覚、固有覚など)の処理や統合を助け、生活のしやすさを高める。

3. 社会性の育成

順番を守る、他者とのコミュニケーションを取る、集団行動に参加するなどの力を養う。

4. 自己肯定感の向上

「できた!」という成功体験を重ねることで、自信や意欲を育てる。


発達障害の子どもに対する効果的な運動


私たちは自分の身体を使ったり、道具を使ったり、人とコミュニケーションを取ったりと無意識のうちに周りの環境と上手く関わっています。これは脳に入ってくる様々な感覚を整理したり、まとめたりする(=感覚を統合する)ことができているからなのです。

例えば、キャッチボールをしているとき、たくさんの感覚を脳でうまく整理することで、私たちはうまくキャッチボールが出来ます。

しかし、発達障害をもつ子どもは「眼でうまくボールが追えない」、「身体を思い通りに動かせない」、「騒音や服の素材の感触が気になる」、「違うものに目が向き集中ができない」など、感覚統合が苦手であり、キャッチボールは難しくなります。

そのため、発達障害をもつ子どもに対して感覚を統合するような運動を行うことが非常に重要になります

そこで大切になってくるのが「体性感覚」という身体の感覚です。

私たちは目を閉じていても触られている、痛い、熱い、冷たい、手が動いているなどが分かりますよね?これが体性感覚になります。

この体性感覚は身体の使い方や癖、筋肉の緊張具合などによりズレが生じたり、感覚が低下してしまいます。

 このように身体には感覚がズレていたり、低下しているところがあります。これでは身体を思い通りに動かすことができません。

つまり、全身の体性感覚が整っている状態が「感覚が統合された状態」になります。この状態が身体に軸(体軸)がある状態になります。

発達障害の子どもに効果的な運動とは、この「体軸」を育むことのできる運動なのです。

では具体的にどのような運動がいいのでしょうか?次に体軸を育むための自宅でも簡単にできる体操をお伝えします。


発達障害の子どもと一緒に自宅で簡単にできる運動

運動療育についてお伝えしてきましたが、ご自宅でも簡単に発達障害の子どもと一緒にできる運動をここで紹介します。

ここで紹介する体軸体操は、その体性感覚を整え、体軸を作ることに重点をおいた「予防医学に基づいて理学療法士が開発した健康的な身体づくりのための体操プログラム」になります。

子どもの身体のインナーマッスルを活性化することで、姿勢や身体の使い方が向上する体操です。

他の体操とは違い、全身14カ所にある身体のスイッチを触りながら動かすことで、身体の感覚が整い、インナーマッスルが活性化し、身体に軸ができます


 


体軸」とは、筋肉や骨ではなく、身体の真ん中を通る身体の感覚になります。


「体軸」とは読んで字のごとく、身体の軸のことであり、身体を動かしていく上で最も重要な身体感覚のことです。身体感覚とは、身体を動かすことで得られる感覚であり、子どもの身体と心の発達には欠かせないものとなります。

子どもの発達の3階層というものがあります。子どもは産まれるとまず呼吸運動を習得し、そして、外界と自分との関係をあらゆる感覚を通して認知し、自己の姿勢や動きを構築していきます

これらの土台の上に、
コミュニケーションといった対人スキルやあらゆる学習、高次の運動(スポーツ)を習得していきます。

体軸」は、そんな子どもたちの発達の土台となる大切なものなのです。毎日少しずつでも身体に意識を向けることが大切で、毎日の簡単な動きが積み重なり、子どもたちが成長していく上で大きな糧となります。

まずは保護者の方などがお手本を見せて上げ、子どもが真似するような方法で実施してみましょう。

 *理解が難しい子どもに対しては、保護者の方がポイントを押さえながら実施したり、体操の絵カードなどを作り、一緒に実施したりしてみてください。

 その際に大切になるのが以下の3つのポイントです。

体軸体操は全部で17種類あります。すべてを必ず行う必要はありません。この中からお子さんが「楽しい、やってみたい」と思えるようなものを選んで一緒にやってみましょう!

今回の記事を読んで、発達障害のあるお子さんに対する関わり方に興味を持たれた方は、子どもの身体づくりの専門家が実施する「体軸療育士 養成講座」の受講をおすすめします。

2025年より新規で開講した講座であり、オフラインでも受講でき、2日で体軸専門資格を取得することができます。主に発達障害のある子どもに対しての関わりの中で、体軸を育んでいくことで、障害特性の緩和を目指せるスペシャリストとして活動することができます。

  ▶︎「体軸療育士 養成講座」はこちら




まとめ  

◉発達障害の子どもに対する運動療育とは?

運動療育とは運動を通じて心身の発達を促す支援や教育のこと

運動は身体を強くする、衝動や集中力など「情動の抑制」に役立つ

・運動は記憶や学習などの認知能力を高め、活発に脳細胞を働かせる

・運動療育では身体能力の向上、感覚統合の発達、社会性の育成、自己肯定感の向上を目指す


◉発達障害の子どものに効果的な運動

・発達障害の子どもは脳に入ってくる様々な感覚を整理したり、まとめたりする(=感覚を統合する)ことが苦手である

・全身の体性感覚が整っている状態が「感覚が統合された状態」であり、この状態が身体に軸(体軸)がある状態

発達障害をもつ子どもに対して感覚を統合するような運動を行うことが非常に重要


◉発達障害の子どもと一緒に自宅でも簡単にできる体操

・体性感覚の改善に重点をおいた体軸体操が感覚統合に効果的

・発達障害の子どもに体軸を育む体操として体軸体操がある



以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

こちらもおすすめ