子どもの体幹トレーニングって意味ないの?|理学療法士が分かりやすく解説

時計2025.11.07
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「子どもの体幹を鍛えたほうがいい」とよく聞くけれど、本当に効果があるの?

バランス力や姿勢が良くなるといわれている一方で、「まだ早いのでは?」「意味がないって聞いたけど…」と迷う親御さんも多いのではないでしょうか。


実は、子どもの体幹トレーニングには「やり方」と「目的」を間違えると、期待する効果が得られないどころか、動きの発達を妨げてしまうこともあります。


この記事では、理学療法士の視点から

・「体幹」とはそもそも何か

・「子どもの体幹トレーニングは意味があるのか?」

・子どもの理想的な体幹トレーニング

をわかりやすく解説していきます。


子どもに体幹トレーニングをさせたい親御さん必見の内容です。


目次  


1. 体幹とは?

2. 子どもの体幹トレーニングって意味ないの?

3. 自宅で簡単にできる子どもの理想的な体幹トレーニング

4. まとめ


体幹とは?

 体幹とは「手足や頭を除いた身体の胴体部分の名称」になります。胴体部分の骨格や筋、内臓や神経など全てを言います。


体幹の筋肉は、表層の筋肉(アウターマッスル)と深層の筋肉(インナーマッスル)に分けられます。子どもの体幹トレーニングで重要になってくるのは、主に安定性に関わる「深層の筋肉(インナーマッスル)」になります。

体幹のインナーマッスルの代表的な筋肉には次の6つがあります。

前鋸筋(ぜんきょきん):体幹と腕をつなげる筋肉

横隔膜(おうかくまく):呼吸に関わる筋肉

腹横筋(ふくおうきん):腹部を横に走行する腹圧を高める筋肉

骨盤底筋群(こつばんていきんぐん):体幹の底の部分にあり、腹圧を高める筋肉

大腰筋(だいようきん):体幹と足をつなげる筋肉

多裂筋(たれつきん):体幹の後面にあり、背骨を滑らかに動かす筋肉

  


子どもの体幹トレーニングって意味ないの?

体幹トレーニングって意味ないの?と聞かれたことはありませんか?

体幹トレーニングとは、「身体の中心(体幹)を安定させ、手足の動きを効率的にコントロールするためのトレーニング」です。

体幹トレーニングは、子どもでも正しく行うことで、次のような非常にたくさんのメリットがあります。

姿勢が良くなり、集中力が上がる
身体の土台ができ、運動神経が良くなる  
体調を崩しにくくなり、またケガをしにくくなる 
豊かな価値観を持てるようになる 

では、なぜ体幹トレーニングって意味ないの?と言われるのでしょうか。これは、体幹トレーニングの内容と目的がずれているからです。

いきなりですが、皆さんはお相撲さんとチーターはどちらの体幹が強いと思いますか?


正解は、「両方です」。なんじゃそれ!?と思うかもしれませんが、大切な話なので聞いてください。

体幹が強いとは「止まっている時、動いている時に身体の重心(中心)を保つ力が強いこと」を言います。 

体幹の能力には①筋力 (力の大きさ)柔軟性(しなやかさ) ③復元力(戻ろうとする力) ④ 格定力(そこに保持する力)の4つの能力があり、それぞれ合わせた力が体幹の能力=体幹の強さになります。  この4つの力を高めるトレーニングのことを「体幹トレーニング」と言います。


つまり、体幹が強いと言ってもお相撲さんのように①筋力④格定力が強い体幹である場合と、チーターのように②柔軟性③復元力が強い体幹である場合など、それぞれが得意な体幹の能力があります。


よって、一概に体幹トレーニングをするとしても体幹のどの能力を鍛えたいかでトレーニング内容は異なります。

柔軟性を獲得したいのに、プランクのような格定力を鍛えるようなトレーニングになってしまうと意味ない?となってしまうのです。意味ないだけでなく、最悪の場合、パフォーマンスを低下させてしまう可能性もあります。

では、子どもたちに対してどのような体幹トレーニングをすれば良いのでしょうか?

子どものうちに鍛えたいのは、この4つの体幹能力の土台になる「体軸」になります。この「体軸」を鍛える体軸トレーニングはこの4つの能力すべてを向上することができるんです。

この体軸を鍛えるために理学療法士によって開発された体幹トレーニングが、「体軸体操・10秒アクション」です。

次の項目で詳しく解説しますね。


自宅で簡単にできる子どもに理想的な体幹トレーニング

ここで紹介する体幹トレーニングは「体軸体操10秒アクションと呼ばれ、「予防医学に基づいて理学療法士が開発した健康的な身体づくりのためのトレーニングプログラム」になります。

子どもの身体のインナーマッスルを活性化するため、たった、10秒の動きで繰り返し行うことで、正しい身体の使い方が身についていきます。


他の体操とは違い、全身14カ所にある身体のスイッチを意識しながら動かすことで、身体の感覚が整い、無駄な力が抜けた状態、つまり逆上がりがやりやすい状態になります。そして、インナーマッスルが活性化することで、身体に軸「体軸」ができます


 

体軸」とは、筋肉や骨ではなく、身体の真ん中を通る身体の感覚になります。

体軸は、運動(スポーツ)・勉強・習い事の土台になるものです。これから怪我することなくスポーツを頑張りたい、勉強がもっとできるようになりたい!という小学生の子どもたちにこそまず身についてほしいのがこの「体軸」です。

この体操プログラムはTAIJIKU(たいじく)子どもの運動学習塾の教育プログラム内などで幅広く活用されています。


今回は、この100種類以上あるトレーニングの中から体幹が強くなる体操を5つ紹介します。


体幹トレーニングをする前に、現状の体幹力を次の方法で確かめてみましょう。


体幹力測定テスト:軸すもう

2人が押す側(子ども)、受ける側(親)に分かれます。

親は肘を伸ばした状態で子どもに押されないように踏ん張ります。親が踏ん張り続ければ親の勝ち、1歩でも足が動いてしまったり、後ろに転んでしまったら子どもの勝ちです。


注意点としては、子どもも足は動いてはいけません。また、親は肘を必ず伸ばした状態をキープして耐えてください。


最初の頃は、体格差があるため親が勝つことが多いと思います。体格差が大きい場合はしゃがみながらやってみましょう!

ここでは、「一般的な体幹トレーニング」と「体軸トレーニング(体軸体操・10秒アクション」の違いを理解するために次の2つの実験をしてみましょう。

【実験①】



*親御さんは実施せず、お子さんだけやるようにしてください!

体幹トレーニング後、子どもは軸すもうが強くなりましたか?実施前後で比較してみてください。

比較できたら、続いて次の実験②もやってみましょう。


【実験②】

*親御さんは実施せず、お子さんだけやるようにしてください!









すべての体操ができたら、先ほどの軸すもうでもう一度体幹力をチェックしてみよう!



実験①と比べて体幹力は強くなっていませんか?


このように、身体の感覚が向上すれば身体の使い方はすぐにでも変えることができます。子どもたちが楽しみながら体幹トレーニングできるように、親子で一緒にやってみてくださいね。


今回お伝えした体軸体操・10秒アクションは全てで100種類以上あり、その中の一部のみ紹介しました。これからの時代、小学生の子どもたちが、健康にすくすく成長できるために土台となる身体づくりが必須です!

今回の記事を読んで、子どもの身体づくりに興味を持たれた方は、子どもの身体づくりの専門家が実施する「体軸ファシリテーター養成講座」の受講をおすすめします。

オフラインでも受講でき、1日で体軸体操指導者の資格を取得することができます。子育てに役立つことができますし、地域で運動教室などを開催することもできるようになります。

  「体軸ファシリテーター養成講座」はこちら

まとめ  

◉体幹とは?

・体幹とは手足や頭を除いた身体の胴体部分の名称

・体幹のインナーマッスルは、前鋸筋(ぜんきょきん)、横隔膜(おうかくまく)、腹横筋(ふくおうきん)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)、大腰筋(だいようきん)、多裂筋(たれつきん)の6つある

◉子どもの体幹トレーニングって意味ないの?

・子どもでも正しいやり方と目的を持つことでたくさんの効果がある

・体幹の能力には①筋力 (力の大きさ)②柔軟性(しなやかさ) ③復元力(戻ろうとする力) ④ 格定力(そこに保持する力)の4つの能力がある

・体幹が強いとは「止まっている時、動いている時に身体の重心(中心)を保つ力が強いこと」

・体幹の4つの能力をすべて向上させるには、体軸を形成する体軸トレーニングが効果的


◉自宅で簡単にできる子どもに理想的な体幹トレーニング

・体軸体操が効果的

 ーわきアクション

 ーみぞおちアクション

 ーレッグアクション

 ーマウンテンロケット

 ーすもうアクション


以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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